2016年11月にインド政府が突然、高額紙幣を使用禁止令発令!
生まれて初めて行ったインドでこんな大事件に遭遇、インドの国土交通省が実施している観光用キャンペーンのキャッチコピー通り、”Incredible India” (とてつもない、信じがたいインド)を身をもって体験したレポートをアップします。
突然の発表、明日から突然お金が使えなくなる?
この時、アーユルヴェーダの施設に泊っていて、同じ時期に泊っていた人たちと一緒にご飯を食べたりお茶しながら暇をつぶすゆったりした時間を過ごす毎日だったのですが、2016年11月8日突然ニュースが飛び込みました。
明日からお金が使えなくなる?!
その時、宿泊していた人たちは、私を除いてほとんどがインドのインド人でした。
新聞か何かをみて、隣の部屋のインド人の男の子が、明日から今持っているお金が使えなくなる。と教えてくれました。
は? なにそれ?
私は初めてのインドだったので、タイで両替をしていき、大きな金額(2000ルピー/3500円位)を主に、数枚の100ルピーなどを持っていて、後半で外に観光に行く予定だったので、ほとんどの現金を持っていたのです。
ちょっと、それどういう事?
よくよく聞くと、政府がマネーロンダリング(資金洗浄)撲滅するために打ち出したとっておきの秘策のようです。
観光で来ている私はあまり影響を受けませんが、それでも不便な思いはしました。
詳細は後述しますが、この高額紙幣廃止の概要はこんな感じでした。
- 現行の紙幣2000, 1000, 500ルピー札を新しい札に変更。
- すでに持っているお札は突然明日から使えなくなる
- 持っている現金の価値をそのまま持ち続けるには以下の2通りの方法がある
- 銀行や郵便局などの金融機関で新しいお札と交換(一回の交換の上限あり)
- 持っている現金を銀行口座に貯金
かなり強硬なやり方ですよね。
しかも、スゴイのが、一日あたりに交換できる金額の上限があること。
発表した翌日から施行なのに、交換できる新紙幣が十分でないので、銀行などに長蛇の列ができる事態となりました。
そのため、数日シャッターを下ろしたままの金融機関などもありましたよ。
ATMに行っても出すお金がないので、現金が出ない。
ものすごいラッキーで現金が引き出せても、一回の限度額が2000ルピーまでで、2000ルピー札で出て来るので、買い物をしようとしてもお店におつりがないので買う側も売る側も何もできない事態に!!
このため、しばらく個人経営の小さなお店は商売が成り立たず、クレジットカードなどでの支払いが可能なお店は少額でもすべて電子決済、となりました。
このお強硬なやり方にはお国柄、色々な事情が絡み合っているのは事実です。
また、政権の選挙を見越して、クリーンな政治に取り組んでいるという印象をつけたかった意図も見受けられます。
インドはタンス貯金が多いの?
アーユルヴェーダの治療を1-2週間受けに来るインド人って、ある程度のレベルのお金持ちなんですね。
だから、お金があるのは、聞かなくてもわかりましたが、4人のインド人が私の目の前で困った~と話ていました。
色々細かい話があるのはそうなのですが、ほとんどの人が現金で結構な金額を持っている様子。
この話を聞いて私は疑問に思いました。
”インドの人ってお金を銀行とかに預けないの?”
”インドはタンス貯金が主流なの?”
答えはYES。
だから、みんな困ってるんです。
しかも、交換ができる期間が設定されていて、金額が多ければ多いほど交換が難しく、また、それによって、現金をいくら持っているかを政府に把握され課税の対象となるとのことでした。
タンス貯金をする理由は色々あるようですが、私が聞いた理由は、
- 妹の婚礼のために、金(きん)が必要だから、現金で持っていた。
- 土地や不動産を持っているため、それらにかかる税金対策
など
これらは文化的背景も理解する必要があるので、詳しく話すと、長くなるため割愛しますが、要するに、ブラックマネーでないお金も普通に現金で貯められているということが多いようです。
的を得たコメント
政府はブラックマネーとかマネーロンダリング(資金洗浄)などの撲滅と言っているけど、発表したのが夜の8時、翌日から実施。
政府が実施するからには事前に準備万端で実施するのかと思いきや。
私が聞いたインド人のコメントはかなりクールで的を得ていました。
- 交換できる新しいお金がないなら、用意してから実施するべき
- 都市部ではこの方法は可能かもしれないけど、農村部などでは無理がある
- 低所得になればなるほど現金での生活になるため、低所得の人にしわ寄せがいく
- 状況によっては、最終的に目減りする可能性があるため、国民に無理を強いていると言わざるを得ない
因みに、情報が色々錯綜し、持っている現金すべてが紙くずになるという情報がながれたり、
関連ビジネスで良からぬ事件も発生。
しかも、最終的に、現金の交換率97%だったようです。
つまり、当初狙っていた効果は思ったようには得られなかったという見方をする人も。
ちょっと面白い話 オンライン決済で一儲けした中国のビジネス
最後にちょっ皮肉った面白い話で、この記事をしめたいとおもいます。
この騒動で、オンラインで決済サービスが急激に普及したのは言うまでもありません。
大きなビジネスチャンスだったことは間違いないでしょう。
インド国内のオンライン決済システムを手掛ける会社 ペイティーエム は中国のアリババが40%の株式を保有している会社です。
この騒動の恩恵で同社のサービス利用は以前から比較して数倍にもなったとのことです。
インドの政府が実施した突然の変更によって、中国の会社が大きな利益を得た
として、インド人の友達が、「悔しいけど、中国人は先見の目があると」言っていました。
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