抗がん剤と脱毛の話①——坊主にするべきか、しないべきか問題

この記事では、Yoshの抗がん剤治療による脱毛体験の始まりを書いています。

「抗がん剤を打ったら、みんなハゲる」と思っていました。

しかも、Yoshの場合は、主治医に「脱毛します!」と断言されたので、覚悟はしていました。

でも、Yoshの主治医の説明、全般的によく分からないんです。なので、いまいちピンと来ないまま、治療が始まったので、結構苦労しました。この脱毛の件も同じです。

では、抗がん剤治療をしたら脱毛するのは、するのだけれど、いつから?どのくらい?どんな感じで?は、実際に経験してみないと分からないものですよね。

あまり情報がない中治療を開始したYoshの体験談、誰かの参考になったら嬉しいです。

R-CHOPで脱毛する仕組みについて

そもそも、なぜ抗がん剤で髪が抜けるのか。

ここで言う抗がん剤は、Yoshの治療で使われたR-CHOPの話が中心になります。実は抗がん剤の種類によって脱毛の程度は様々で、ほとんど抜けないものもあれば、R-CHOPのように「100%抜けます」と断言されるものもあります。

仕組み自体は共通している部分がありますが、脱毛するかどうか、どの程度かは、症状や、癌の進行具合などにもよりますので、必ず担当医に確認してください。

抗がん剤は「細胞分裂が活発な細胞」を攻撃する薬です。髪の毛を作っている「毛母細胞」はとても細胞分裂が盛んな細胞なので、影響をもろに受けてしまうんですね。

つまり、「新しい髪を作ろうとしているところ」をたたかれるから、髪が抜けてしまう。Yoshがそんな風にイメージしていた仕組みは、だいたい合っていました。

そして、Yoshは癌化した細胞の広がりが結構大きかったので、6回の抗がん剤治療をしたのですが、全身の毛という毛が抜けましたよ。ただ、眉毛とまつ毛は全部は抜けませんでした。

毛は結構興味深いトピックだと思うので、毛シリーズの記事を抗がん剤治療の回数ごとに分けて書いていきますね。

ある時、女医さんと話す機会があり、彼女の患者さんは「全身脱毛サロンに行く手間が省けた」と言っていたとか。w

そして、抗がん剤は同じ原理で、胃腸の粘膜や口腔粘膜なども細胞分裂が活発なので影響を受けやすく、吐き気、下痢、口内炎なども同じメカニズムで起こります。

ただし、毛根が完全に死滅するわけではないので、脱毛は一時的なものです。治療が終わると少しずつ回復してきます。個人差はありますが、これは希望の持てる話ですよね。

抜け始めたのは、1回目の治療から3週間後

抗がん剤1回目の治療を終えた直後位から、すでに生えている髪の感触がなんだか違う事に気付きました。

なんか、ゴワゴワとも違う、なんか違うんです。

鏡で髪の毛を観察している様子

でも、すぐには抜けなかったので、毛根の細胞生成のタイミングに関わっているのかな?と個人的に感じました。

「あれ、もしかして抜けないのかも? 」と少し期待しながら過ごしていた3週間後、いつもより抜け毛が多いなと気づき始めます。

友人が抗がん剤治療しないのに坊主にしていた

治療が始まる前、脱毛への不安を友人に話したことがありました。

するとその友人、なぜか坊主にした経験があるとのことでした。(なぜ坊主にしたのかは謎ですが)、「抜けるの待たないで、潔く坊主にしたらいいよ!坊主手入れが楽だよ!」とアドバイスをくれました。

Yoshの心の声:「なぜ坊主とかしてんの?超謎なんだけど。まあ、深く聞かないでおこう。」

と思いましたが、この友人と待ち合わせすると、いつも髪型が変わっていて、誰だかわからない。

Yoshは帽子を被っていた時、やっぱり見た目が変わったので、お互いにすぐそばにいるのに気づかずに、LINEで、今どこ?見たいなやり取りをしていることを思い出しました。

髪型迷子なのかもしれない。笑

そして、Yoshはこの時気付いた事があります。

「そういえば、ここ20年位、ロン毛なんだよな。」

ロン毛にしている理由はいくつかありました。

海外に住んでいると、上手な美容師さんを探すのが難しく、思ったようにカットしてもらえないので、ロン毛を伸ばしたままにしておくと、楽なんです。伸びすぎたら切ればいいので、普段は、まとめてしまえばカットのうまさは論点にはなりません。

さすがに日本に住み始めて上手な美容師さんはたくさんいますが、あの頃は忙しくて美容院に行く時間がなくて、海外のスタイルのままでいたのです。

なので、イメチェンもいいかも?と思って、”坊主にしよう!”と心に決めたのでした。

でも、正直、心の中では「できれば抜けないでほしい」と思っていたけど、抜け始めてきたので、思い切って美容院に予約を入れました。

その際、抗がん剤治療で脱毛が始まっていると、事情も一緒に伝えておきました。

美容院での予想外の展開

当日は、事情を察して店長さんが担当してくれました。

その理由は、この店長さん、なんと某有名ウィッグメーカーでウイッグのスタイリストの資格を持っている方だったんです。

この頃、Yoshは、癌になってしまった事実と、髪が抜けてしまうと言う抗う事が出来ない事実を前に少し情緒不安定気味でした。

やはり、人は生命の危機が迫っているかもしれない状況に置かれると、精神的に不安になってしまうものですよね。

Yoshのとりとめのない話も含めて店長さんは丁寧に話を聞いてくれます。

そして、

Yosh:「友人に坊主にしたらスッキリすると言われて、自分で自宅で(お父さんのバリカンで)坊主にしようかと思ったけど、ロン毛は絡まると大変な事になるとネットか何かで見て、やっぱり美容師さんにやってもらった方がいいと思ってきました。」

と伝えます。

そして、店長さんが丁寧に対応話を聞いてくれた後、こう言いました。

「いきなり坊主にしない方がいいと思いますよ。」

「以前担当したお客さんは子宮がんを患ってしまって、髪を切りに来店されて、ウイッグも準備されたんですが、結局、思ったほど派手に抜けなくて、ウイッグも使わなかったんですよ。」

「多分、坊主にしてしまうと、どのくらい抜けているのか、様子が分かりにくくなる可能性があるかもしれないし、もし抜けたとしても、坊主(短髪)だと、毛が抜けた時の処理(掃除とか)が大変だと思いますよ、と。」

Yosh:「なるほど、確かに。」

髪をボブにカット

やはり、髪に毎日触れている専門家ならではのアドバイスだなあと、妙に納得して、坊主はやめてボブにすることにしました。

ボブなら、もし抜けても抜けなくても手入れもしやすいですからね。と言われお任せしました。

抜け方は人それぞれ——Yoshの場合は「じわじわ型」

他の友人から聞いた話では、「いきなり束になって一気に抜ける」というケースもあるそうです。

そんな話も聞いていたので、例えば、どこかのお店に行った時に突然”抜けるタイミング”がきて、いきなりお店でバーって抜けたらどうしよう。。。とか、色々考えていました。

でもYoshの場合は、毎日少しずつ、でも確実に抜けていく「じわじわ型」でした。

特に顕著だったのが、ドライヤーの熱が当たった時。

洗髪時には、あまり抜けないので、やっぱり抜けないのかなあと思っていると、ドライヤーをかけるとごっそり抜ける感じで、洗面所には毎日髪の山ができていきました。毎晩スーパーで買う中くらいのビニール袋に髪がいっぱいになります。

ドライヤーで髪が抜ける

ここで、もう一つアドバイスをもらいました。

もう毎晩少しずつ抜けるので、毎晩毛を集めたり、掃除をしたり大変だったので、ムシってしまおうかとも思いました。

でも、そうすると、すでに抗がん剤でたたかれている毛根に過度なストレスとダメージを与え、場合によっては毛が生えてこなくなるかもしれないのだそう。

それは、困るので、毎晩おとなしく、毛ちゃんたちが静かに自ら抜けるのを優しく受け入れる事にしました。

ボブショートなので、ロングよりは髪は短いのに、髪ってこんなに生えているんだと、生まれて初めて知る髪の量に新しい発見をしたのを覚えています。

そして、髪が”ほぼ”なくなるまでそれが続きました。

ウィッグは使わず、帽子で過ごすことにした

結局Yoshはウィッグを使わず、ずっと帽子をかぶって過ごすことを選びました。

理由はいくつかあります。

その頃、もう会社に出社することもなく、傷病中(実質休職)だったので、見た目をきちんとする必要がなかった。

時期が夏に差し掛かってきていて、Yoshは頭に汗をたくさんかく体質。

美容師さんが、他のお客さんの話で(その人は脱毛はほとんどなかったけど)ウィッグを使わなかった、と言っていた。

ウィッグを買ったけど使わなかったという話をよく聞きました。

ちゃんとしたウィッグって、結構高価なんです。

市などで医療用ウィッグの補助金があったりしますが、Yoshは「使わないなあ」と思ったので、使わないものに高額なお金を出すのはもったいないし、時期が来れば髪は伸びるはず!と思ったのです。

そして、帽子のコレクションを始めました。

帽子にも色々な種類があって、医療用の帽子と普通の帽子は全然違います。

ファッションの目的で販売されている帽子には縫い目があり、髪がなくなってしまった地肌には、その縫い目が痛いんです。そのため、脱毛してしまった人は、医療用の帽子を被る事をおすすめします。

この話は別の記事で詳しく書いていきます。

AYA世代への情報

最後に、AYA世代(15歳〜39歳)の方へ特に伝えたいことがあります。

脱毛は外見の変化なので、特に若い世代には心理的なつらさが大きいと思います。治療を続行し、学校に行く場合もあるかもしれません。

自分らしくない、友達にどう見られるか不安、そういった気持ちになって当然です。

Yoshはウイッグは使いませんでしたが、安心材料として一つ持っておくのもいいと思いますよ。

そして、AYA世代にとってもう一つ大切な情報として、妊孕性(にんようせい)温存の話があります。

抗がん剤は細胞分裂が活発な部分に影響するので、卵巣や卵子にも影響が出る可能性があります。将来子どもを希望している場合、がん治療を始める前に卵子や受精卵を凍結保存するという選択肢があります。これを「妊孕性温存療法」と言います。

日本では国の助成事業もあり、43歳未満の方が対象になります。費用の一部が助成される都道府県も多いので、主治医に相談してみることをおすすめします。

因みに、Yoshはこの時すでに43歳を少し(?)オーバーしていました。

主治医は、相変わらず何を言っているかよく分からなかったのですが、

主治医「Yoshさんは。。。いいですよね?」

Yosh「あ?何が? 」

「あー、卵子凍結とかそういう話ですよね?年齢オーバーだからいいですよね?って?」(言いずらい話を直球で言う)

「必要ないっすよ」

ただ、もう少し丁寧に説明をしてほしかったと思います。

この辺の話も別記事で触れていきます。

そして、もし、温存したかったら自費だったかもしれないと、今自分で調べて知りました。

治療が始まってからでは遅い場合があるので、診断されて、主治医や、病院の方から「妊孕性温存について」の話がなければ、自分から聞きたいと一言伝えてみてください。

少し、繊細なトピックではありますが、とても重要な事です。

将来の選択肢があるのとないのとでは、全然違います。

必要になってから、「あの時やっておけばよかった」となってからでは遅いですからね!

まとめ

脱毛の始まりで感じたこと、それは「情報で理解したつもりでも、自分事になって体験するのとでは違う」ということです。

「一気に束で抜ける」と聞いていたのに実際はじわじわ型だったり、「坊主にした方がいい」と思っていたのに専門家にとめられたり。自分の体は自分で観察しながら、その都度判断していくことが大切だと感じました。

出来る限りの情報収集は必要ですが、臨機応変に対応すると言う気持ちを持っていないと、心が折れてしまう事もあるかもしれません。

少し楽な気持ちで、時と共に変化に対応する気持ちで取り組むのがいいと思います。

そして、AYA世代の方は、妊孕性温存について早めに確認することをおすすめします。治療が始まってからでは遅い場合があります。診断されたらすぐに主治医や、看護師に一言伝えてみてください。

特に大学病院は癌患者のサロンとか、癌感謝に特化した科などがある場合が多いので、少しでも不安がある場合はフル活用しましょう。

そこのスタッフの人たちは、行政のサービスにつなげてくれたりもするので、癌になってしまったからと言って、閉じこもるのではなく、自分から動いて孤立しないことも大事です!

次回は、抗がん剤治療3回目についてかいていきます。帽子生活の実態と、医療用帽子について、毛シリーズも引き続き書いていきます。