この記事では、Yoshが抗がん剤治療を通じて知った「抗がん剤の世界」について書いています。
「抗がん剤」という言葉、みなさんはどんなイメージを持っていますか?
Yoshは正直、「抗がん剤」という一つの薬があって、それを点滴するものだと思っていました。つまりマルチビタミン剤みたいに、「必要なもの全部入っているからこれを飲めばOK」的な。
でも、なんか違っていたので、話がチンプンカンプンでした(笑)。

抗がん剤は癌の種類によって、違う薬が使われる
癌と一言で言っても、癌の種類はたくさんあります。そして、癌の種類によって最適な抗がん剤が使われます。
というか、Yoshは、自分の経験を経て癌って結構たくさんの種類に分かれている事を知りました。
良く耳にする癌は、例えば胃がんとか、肺がんみたいに、臓器が癌化するというものですが、Yoshの癌は臓器ではない。そう考えると、じゃあ、この癌って何?みたいな感じで、話がチンプンカンプン。
大学病院の先生に話を聞いても、基本的な部分でプロと素人なので、話がかみ合いませんでした。
先生は知っている事前提で話しますが、患者のYoshはほぼ全部の事が初めて聞く話で、どんどん進んでいく話に頭も心もついていきませんでした。
Yoshは仕事で長年ITのPMをやっていて、ITでも良くある、知っている前提で話を進めていって、実は前提がかみ合っていなかった、同じ感じです。
そして、ITの領域で色々な事を浅く知っているけど、どれも深いプロではない人みたいな立ち位置でした。そのため、分からない事はとことん勉強し、ある程度のレベルで”深いプロ”と話が出来るところまで知識をあげていく事も仕事のうちでした。
そんな背景から、抗がん剤についてや、癌の出来る仕組みなど、日本語と英語と両方の論文まで読んだりしました。今考えるとそこまでしなくても良かった気がしますが、やっておいて損はなかったです。
それでも臓器の癌とYoshの癌の違いが理解できていなくて、前回の記事でも登場したリケジョ博士に、今度は癌の仕組みについて聞いてみました。
リケジョ:「つまり、癌は大きく分けると、臓器と血液の二つに分けられ(?)、Yoshの場合は、血液の癌ということだよ!」
Yosh:「????? いやいや、リンパって血液じゃないでしょ?」
ここで、Yoshははっと気付きます。
Yosh:「あー、なるほど。血液って言っているのって、液体ってこと?つまり、簡単に言うと、”液体レイヤー”か”臓器レイヤー”かに分けられて、リンパは液体レイヤーの中のリンパ側(血液ではない側)みたいな感じ?Yoshの仕事では、ハードウェアかソフトウェアかみたいな感じだな。」
リケジョ:「そうそう。どっちがハードでどっちがソフトかは分からないんだけど、そういう感じで理解はあっているよ」
というやり取りをして、なんとなく理解が深まったYoshでした。

Yoshの場合は、検査の結果『びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)』という種類だと分かりました。
病名長い。覚えられない。
英語にすると「Diffuse Large B-Cell Lymphoma」でDLBCLと略されます。略しても覚えにくいけど。
因みに、臓器の癌は(勿論場合によると思いますが)手術をして癌化した部分を取り除き、癌の面積を小さくしてから抗がん剤治療や放射線治療に進みます。でも、血液癌の場合は、簡単に例えると、がん細胞が全身に広がっているので手術でピンポイントに取り除くことが出来ない。
そのため、基本は全部抗がん剤治療で対応するのだとか。
場合によっては放射線治療も併用すると聞きました。Yoshはこれには該当しませんでした。
DLBCLってどんな癌?
悪性リンパ腫の中にも、進行スピードが全然違う種類があります。
超スピードが早い種類は、週単位で進行するものもあります。
DLBCLのような中間タイプは、月単位で進行します。どちらかというと「進行する」タイプではあるけど、週ごとのようなスピードではない。Yoshはここに該当します。すでにステージ3なので、かなり大きく成長していました。
ゆっくりタイプは、何年も経過観察だけで、積極的な治療が必要ではないものもあります。
「癌=すぐに命が危ない」というイメージがあるけど、種類によってかなり違うんですよね。これは知らなかった。
R-CHOPって何?
悪性リンパ腫の抗がん剤治療で一般的に使われるのがR-CHOPというレジメン(治療法の組み合わせ)です。
実はこれ、一つの薬の名前ではなく、複数の薬の頭文字を組み合わせたものなんです。
- R:リツキシマブ(Rituximab)→ 前回の記事で出てきたアレルギー反応が出た薬
- C:シクロホスファミド(Cyclophosphamide)
- H:ドキソルビシン(Hydroxydaunorubicin)
- O:ビンクリスチン(Oncovin)
- P:プレドニゾロン(Prednisolone)→ 前回の記事で出てきた20錠飲むやつ
このリツキシマブ、実は普通の抗がん剤とは少し違います。
一般的な抗がん剤は、がん細胞も正常な細胞も区別なく攻撃するイメージですが、リツキシマブは「モノクローナル抗体薬」という種類で、悪性化したB細胞にだけ存在する「CD20」というタンパク質をピンポイントで狙い撃ちにする薬です。
ITで例えると、特定のIPアドレスだけにアクセスするファイアウォールみたいなイメージ。狙った標的だけを攻撃するので、従来の抗がん剤より正常な細胞へのダメージが少ないのが特長と言われています。
そして日本で承認されたのが2001年。比較的新しい薬なんですよね。これがCHOPにルーキーとして加わってR-CHOPになり、治療効果が大きく向上したのと同時に患者への負担も軽減されたというわけです。
Yoshのアレルギー反応も、このリツキシマブが最初に投与される薬だったので、最初に体が「何だこれ!」と反応したのかもしれません。
というわけで、5種類の薬を組み合わせて使うんです。「抗がん剤=一つの薬」だと思っていたYoshの「?」に、正しい回答が投じられた感じでした。
でも、よく考えると、風邪を引いた時も、全ての風邪の症状に効く万能薬はないですよね。熱があって、のどが痛ければ、この薬と、あの薬、席が出るならもう一つ加える、みたいな感じ。
それと同じで、抗がん剤も症状にあった薬を組み合わせて治療するんですね。なんか、それぞれの症状に対応した、薬のアベンジャーズみたいですよね。

抗がん剤にも歴史がある
前述のように、10年位前まではRのないCHOPが標準治療で、リツキシマブ(R) が加わってR-CHOPになり、治療効果が大きく向上したと言いましたが、科学の進歩と経験の積み重ねで、患者の苦痛を減らしたり、薬の効果を上げたりという調整を繰り返して、現在に至っているんですね。
つまり、抗がん剤の世界も時と共に、進化し続けているんですよね。これからも、進化し続けるでしょう。
Yoshが「自然療法で治したい」と思っていた気持ちは今でも変わりません。でも一方で、科学が積み上げてきた歴史と実績があるんだということを、治療を通じて実感しました。
まとめ
癌になって初めて知ったこと、それは「抗がん剤の世界は思っていたより画期的で、そして進化しつづけている」ということです。
診断を受けた直後は情報が多すぎて頭に入らなかった。でも少しずつ「自分の癌はどんな種類で、どんな治療をするのか」を理解していくことで、自分の立ち位置を確認できた。そしてこういう姿勢で、人任せにしないで、自分自身も、治療と向き合う上姿勢はとても大切だとYoshは思っています。
次回は、2回目の治療から外来に切り替わったことで見えてきた現実について書いていきます。